1. はじめに

この記事を作成する背景は、GitHub Copilotで選べるモデルと料金が継続的に更新され、特定モデルを既定とする比較がすぐ古くなることです。VS Codeのモデルピッカーには、複数プロバイダーのモデルが表示されます。

この記事の目的は、モデル名を固定せず、公式カテゴリ、タスク特性、AI creditsの3軸で選ぶ方法を示すことです。

2. 選べるモデルの全体像

2026-07-10時点のGitHub公式料金表は、モデルを次のカテゴリで整理しています。モデル名、提供状態、カテゴリは更新されるため、最新情報は公式ページを確認してください。このLightweight/Versatile/Powerfulというカテゴリ区分の骨格自体は初出の2026-07-10から変更していませんが、個別モデルの一覧・提供状態はセクション3で2026-07-15時点として再確認しています。

カテゴリ 性格 向いている場面
Lightweight 速度と費用を抑えやすい 定型質問、短い要約、小規模な修正
Versatile 速度・品質・費用のバランス型 日常のチャット、実装、レビュー
Powerful 複雑な推論や高度な作業向け 設計、難しい障害解析、大規模なagent作業

一部モデルには、入力が一定量を超えると別単価になるLong context tierもあります。また、GAやPublic previewなど提供状態もモデルごとに異なります。

3. 現行モデルとカテゴリの対応

確認基準日: 本節のモデル一覧・カテゴリ・提供状態は2026-07-15時点の確認結果です。モデルの追加・退役や提供状態の変更は頻繁に起こるため、導入時は必ず公式ページで再確認してください。

Lightweight/Versatile/Powerfulという3分類は、GitHub公式の料金ページ(Models and pricing for GitHub Copilot)固有の分類軸です。同じモデル群を扱う機能比較ページ(AI model comparison)は、General-purpose coding and writingやDeep reasoning and debuggingなどのTask area軸で整理しており、Lightweight/Versatile/Powerfulという語自体は登場しません。VS Codeの公式ドキュメントもこの3語は使っていません。つまりこの3分類はCopilot全体を通じた唯一の公式分類ではなく、料金ページにおける分類です。また、この分類はモデル間の性能の絶対順位を示すものでもありません。

プロバイダー モデル カテゴリ 提供状態 備考
OpenAI GPT-5 mini Lightweight GA
OpenAI GPT-5.3-Codex Powerful GA エージェント型ソフトウェア開発に特化
OpenAI GPT-5.4 Versatile GA Long context tier: 27.2万トークン超で単価2倍
OpenAI GPT-5.4 mini Lightweight GA
OpenAI GPT-5.4 nano Lightweight GA Copilot Chatでは利用不可。Codex VS Code拡張機能限定・Copilot Pro+のみ
OpenAI GPT-5.5 Powerful GA Long context tier: 27.2万トークン超
OpenAI GPT-5.6 Luna Lightweight GA 2026-07-09公開。ファミリー最軽量・最安価。Long context tier: 20万トークン超
OpenAI GPT-5.6 Sol Powerful GA 2026-07-09公開。ファミリー最高の推論力。Pro+/Max/Business/Enterprise限定(Copilot Proでは利用不可。Terra・Lunaより提供範囲が狭い)。Long context tier: 27.2万トークン超
OpenAI GPT-5.6 Terra Versatile GA 2026-07-09公開。バランス型の既定選択。Long context tier: 27.2万トークン超
Anthropic Claude Haiku 4.5 Versatile GA
Anthropic Claude Sonnet 4 Versatile 表記に矛盾あり 料金ページはGA表記で残存。下記の留保を参照
Anthropic Claude Sonnet 4.5 Versatile GA
Anthropic Claude Sonnet 4.6 Versatile GA
Anthropic Claude Sonnet 5 Versatile GA 2026-08-31までプロモ価格適用中
Anthropic Claude Opus 4.5 / 4.6 / 4.7 / 4.8 Powerful GA fast modeを除く各バージョンの標準モード。fast mode版は次行のClaude Opus 4.8 (fast mode) (preview)を参照
Anthropic Claude Opus 4.8 (fast mode) (preview) Powerful GA表記 名称にpreviewを含むが状態欄はGA。旧Opus 4.6 (fast mode) (preview)の後継、2026-06-29付で切替
Anthropic Claude Fable 5 Powerful GA Anthropicの安全性分類により特別なデータ取り扱いが適用。Business/Enterpriseは組織側で個別有効化が必要
Google Gemini 2.5 Pro Powerful GA 2026-07-31に非推奨化予定。下記の留保を参照
Google Gemini 3 Flash Lightweight Public preview 2026-07-31に非推奨化予定。下記の留保を参照
Google Gemini 3.1 Pro Powerful Public preview Long context tier: 20万トークン超
Google Gemini 3.5 Flash Lightweight GA
Microsoft MAI-Code-1-Flash Lightweight GA 継続的に改善が加えられ、性能・挙動が変化しうる旨の注記あり
Moonshot AI Kimi K2.7 Code Versatile GA Copilotで初のオープンウェイトモデル。GitHubがAzure上でホスト。Business/Enterpriseは既定オフでポリシー有効化が必要
GitHub Raptor mini Versatile GA GPT-5 miniをGitHubがファインチューニング

OpenAIのGPT-5.6ファミリー(Sol / Terra / Luna)は2026-07-09に、Moonshot AIのKimi K2.7 Codeは2026-07-01に、それぞれGitHub Changelogで追加が発表された比較的新しいモデルです。Kimi K2.7 CodeはCopilotで初のオープンウェイトモデルで、Business/Enterpriseでは既定オフのためポリシーで有効化する必要があります。

Claude Sonnet 4は、料金ページでは価格が掲載されGA表記のまま残っていますが、サポート対象モデルの退役履歴には2026-05-01付で退役済み・後継はClaude Sonnet 4.6と明記され、現行モデル一覧にも掲載されていません。本記事はこの状態を退役済みの可能性が高い残存表示として留保付きで扱い、断定しません。

Gemini 2.5 ProとGemini 3 Flashは、2026-07-02付のGitHub Changelogで2026-07-31の非推奨化が予告されています(後継はそれぞれGemini 3.1 Pro、Gemini 3.5 Flash)。Gemini 3 FlashはGA化されないまま退役する見込みです。確認基準日(2026-07-15)から予定日までは日が浅く、この記事を読んでいる時点で既に退役済みになっている可能性があるため、公式ページで提供状態を確認してください。現時点で確認できた非推奨化予定はこの1件のみです。

上記のように表記や提供状態に留保が必要なモデルを、次の表に簡潔にまとめます。

モデル 論点 現在の扱い
Claude Sonnet 4 料金ページはGA表記で残るが、退役履歴には2026-05-01付で退役済み・後継はClaude Sonnet 4.6と明記 退役済みの可能性が高い残存表示として留保付きで扱い、断定しない
Gemini 2.5 Pro / Gemini 3 Flash 2026-07-02付Changelogで2026-07-31の非推奨化を予告(後継はGemini 3.1 Pro / Gemini 3.5 Flash) 確認基準日(2026-07-15)から日が浅く、既に退役済みの可能性もあるため公式ページで要確認
Grok Code Fast 1(xAI) 2026-05-15付で退役済み(後継はGPT-5 mini) 2026-07-15時点でxAI系モデルの掲載なし

GPT-4o mini、GPT-4o、GPT-4.1は、タイトル生成やコミットメッセージ生成など裏側処理専用のutility modelsで、モデルピッカーには表示されず本記事のカテゴリ対象外です。GPT-5.4 nanoも同様の用途で使われる一方、Codex VS Code拡張機能限定・Copilot Pro+向けには選択可能なLightweightモデルとしても提供されています。

本記事では、次の情報を確定情報として扱わず対象外としています。

  • Qwen2.5: AI model comparisonページなど一部の公式ページにのみ記載があり、料金ページやサポート対象モデル一覧との整合性が確認できていないため、確定情報としては扱いません。
  • モデルごとの対応クライアント表: Supported AI models in GitHub Copilotページには「Supported AI models per client」という詳細な対応表が存在しますが、本記事はカテゴリ整理を主眼とするため、その内容は本記事の範囲外として扱います。

4. Autoによるモデルの自動選択

確認基準日: 本節の内容は2026-07-15時点の確認結果です。セクション3と同じ基準日のため日付の矛盾はありませんが、Auto自体も提供状況が変わりうる機能のため、利用前に公式ページで再確認してください。

モデルを個別に選ぶ代わりに、「Auto」という選択肢もあります。公式にはAuto model selection(About Copilot auto model selection)と呼ばれ、単なる1つのモデルの名前ではありません。リアルタイムのモデル可用性とタスクの複雑さの両方を評価し、リクエストごとに最適なモデルへ自動的にルーティングする仕組みです。

4.1 仕組みと提供状況

Autoには次の2系統があり、クライアントごとに提供状態が異なります。

  • タスク最適化: タスクの複雑さとリアルタイムのシステム健全性を組み合わせ、高コストな推論モデルは本当に必要な場合のみ割り当てます。
  • 可用性最適化: リアルタイムのシステム健全性とモデル性能に基づき、レート制限の緩和やレイテンシ・エラーの低減を狙います。
最適化の種類 提供状態(2026-07-15時点)
タスク最適化 VS Code、Copilot Chat/CLI/cloud agent/GitHub Copilot appでGA
可用性最適化 JetBrains/Eclipse/XcodeでGA、Visual StudioでPublic Preview

ルーティングの挙動には、次のような特徴があります。

  • 「自然なキャッシュ境界」に沿ってルーティングされるため、同一セッション内でのモデル切り替えは基本的に推奨されません。
  • 別のモデルを試したい場合は、新しいチャットセッションを開始します。
  • 実際に使われたモデルは事後に確認でき、Copilot Chatはレスポンスにホバーすると表示され、CLIはターミナル上に表示されます。

4.2 割引とプラン別利用可否

有料のCopilotプランでは、Copilot Chat・Copilot CLI・GitHub Copilot app・Copilot cloud agentでAutoを使うと、モデルコストが10%割引されます。課金の基礎単位はAI credits(セクション5参照)で、この割引はAI credits換算後の金額に適用されると解釈できます。

プラン別の利用可否は次のとおりです。

プラン 手動選択 Auto
Copilot Free/Copilot Student 不可 利用可能(Auto経由のみ)
Copilot Pro/Pro+/Max/Business/Enterprise 可能 可能

Copilot FreeとCopilot Studentはモデルを手動選択できず、Auto経由でのみモデルにアクセスします。有効化方法はどのクライアントでもモデルドロップダウンから「Auto」を選ぶだけです。VS CodeでWorkspace Trustが無効(Restricted Mode)の場合、モデルピッカーにはAutoのみが表示されます。Business/Enterpriseでは、管理者ポリシーでモデル切り替え自体が許可されている必要があります。

4.3 対象モデルと制限事項

本記事のLightweight/Versatile/Powerful分類(セクション3参照)に当てはめると、Autoの対象は複数カテゴリにまたがります。ただし同じカテゴリ内でも全モデルが対象になるとは限らず、対象・対象外はモデル単位でGitHubが個別に決めています。

公式ページの「Supported AI models in Auto model selection」は、Auto専用の対象モデルを一覧化した表です。この表はGPT-5 mini・GPT-5.3-Codex・GPT-5.4・GPT-5.4 mini・Claude Haiku 4.5・Claude Sonnet 4.6・MAI-Code-1-Flash・Raptor miniの8モデルで完結しており、Copilot cloud agent/Copilot Chat/Copilot CLI/GitHub Copilot appの4クライアントについてそれぞれ対象可否を示しています。「24種類以上のモデル」という数字は、同じページ内の別表「Supported AI models in Copilot」(Copilot全体のモデル一覧、約26モデル)の規模であり、Auto専用表の規模ではありません。この2つの表を混同しないよう注意してください。

モデル カテゴリ Copilot cloud agent Copilot Chat Copilot CLI GitHub Copilot app
GPT-5 mini Lightweight 対象外 対象 対象 対象
GPT-5.3-Codex Powerful 対象 対象 対象 対象
GPT-5.4 Versatile 対象 対象 対象 対象
GPT-5.4 mini Lightweight 対象外 対象 対象 対象
Claude Haiku 4.5 Versatile 対象外 対象 対象 対象
Claude Sonnet 4.6 Versatile 対象 対象 対象 対象
MAI-Code-1-Flash Lightweight 対象 対象 対象 対象
Raptor mini Versatile 対象外 対象 対象外 対象外

表中の「対象」はIncluded、「対象外」はNot includedを指します。この専用表に掲載されていないモデル(GPT-5.5、GPT-5.6ファミリー、Claude Opus系、Claude Sonnet 4.5/5、Gemini各種、Kimi K2.7 Codeなど)は、この一覧に掲載がなく、現時点ではAuto対象外と考えられます。今後対象化されれば公式ページの表に反映されるため、利用前に公式ページで再確認してください。

なお、サードパーティのコーディングエージェントでは、Autoの対象プールが別枠として設定されています。OpenAI Codexエージェントの対象はGPT-5.3-Codex・GPT-5.4・GPT-5.4 nano、Anthropic Claudeエージェントの対象はClaude Opus 4.5/4.6/4.7・Claude Sonnet 4.5/4.6です。

Autoの対象には次の制限があります。

  • 自分のプランで使えないモデル
  • 管理者ポリシーで除外されたモデル
  • データレジデンシー/FedRAMP限定ポリシーで除外されたモデル
  • 評価用ポリシーで除外されたEvaluation models(コードネームの実験的モデル)

個人プランのユーザーでは、Evaluation modelsがAutoのローテーションに含まれることがあり、不要な場合はGitHubのCopilot設定で無効化できます。また、BYOK(Bring Your Own Key)モデルがAutoの対象に含まれるかどうかは、今回確認した公式ページのいずれにも明記がなく、未確認です。

カテゴリ選びに迷う場合は、まずAutoを試し、セクション6の場面別の使い分けを参考にしながら必要に応じて手動選択へ切り替える、という使い方もできます。

5. AI creditsという物差し

Copilotの対話では、モデルへ送る入力、再利用するキャッシュ、モデルが生成する出力などのトークンを消費します。各トークンのモデル別単価を合計し、1 AI credit = 0.01米ドルとしてGitHub AI creditsへ換算します。公式料金表の価格は100万トークン当たりです。

タスク難易度によるモデル使い分けの判断フロー図。タスク発生後に難易度を判定し、軽い定型作業は高速モデルで即応、重い難所は推論モデルへ切り替え、いずれも完了に至る分岐

プランにはAI creditsの付与枠があり、超過分はモデル別のトークン単価で追加利用として請求されます。コード補完とnext edit suggestionsはAI creditsの課金対象外です。付与枠、モデル名、単価を記事へ固定せず、見積時に公式料金ページを参照します。

6. 場面別の使い分け

具体的なワークフロー別に、目安となる選び方を整理します。

場面 推奨の方向性 理由
短い質問・要約 Lightweight 速度と費用を優先しやすい
日常の実装・レビュー Versatile 品質と費用の均衡を取りやすい
難しいバグ・設計判断 Powerful 複雑な推論へ計算量を配分できる
長大なコードベースの分析 Long context対応を確認 入力量によるtierと単価の変化に注意が必要
agentによる横断変更 まずVersatile、必要時にPowerful 探索・ツール実行・出力でトークンが増えやすい

カテゴリは性能を保証する順位ではありません。実際の品質、速度、消費creditsを小さな代表タスクで測り、チームの既定を決めます。

7. モデルを切り替える手順

VS Code では Chat 入力欄のモデルピッカーから切り替えます。

  • Chat ビュー下部の モデル名 をクリックする
  • 一覧で提供中のモデルとカテゴリを確認する
  • 目的のモデルを選び、そのagent sessionで試す

迷ったらLightweightまたはVersatileから始め、出力が浅い、検証を通らない、複雑な推論が必要と判断した場合だけPowerfulへ切り替えます。

8. コストと品質のバランス指針

  • 小さく評価する: 代表タスクで品質、速度、AI creditsを比較する。
  • 難所だけPowerful: 設計・難バグなど、効果が見込める場面に限定する。
  • 文脈を絞る: 不要な入力トークンを減らし、必要なファイルを明示する。
  • 公式単価で見積もる: 入力、キャッシュ、出力、Long contextの各単価を確認する。
  • 動的情報を固定しない: モデル名、提供状態、価格はモデルピッカーと公式ページを正とする。

9. まとめ

  • CopilotのモデルはLightweight/Versatile/Powerfulとタスク特性で選びます。
  • カテゴリ選びに迷う場合はAutoという自動選択肢もあり、対象モデルはcloud agent/Chat/CLI/GitHub Copilot appの4クライアントで8モデルに整理され、有料プランは10%割引、Free/StudentはAuto経由のみです。
  • 利用量はモデル別のトークン単価からGitHub AI creditsへ換算されます。
  • まず低コストなカテゴリで測り、複雑な難所だけPowerfulを試します。
  • モデル名、提供状態、価格は変わるため、公式ページとモデルピッカーを正とします。
  • Lightweight/Versatile/Powerfulは料金ページ固有の分類です。2026-07-15時点の現行モデル対応とAuto専用表による対象モデルの一覧も、時点情報のため変わりうる点に注意し、導入時は公式ページで再確認してください。

10. 参考リンク


この記事の執筆にあたり、AI の支援を受けています。